有明海の海産物・レシピ

ムツゴロウ(ハゼ科)

ムツゴロウ(ハゼ科)
学名
Boleophthalmus pectinirostris
英名
Mud skipper
地方名(方言)
ムツ、ムットウ
主な漁場
干潟域一帯
漁期
4〜8月
主な漁法
むつかけ、むつごろううけ(タカッポ)、がた羽瀬

有明海のシンボル的な存在。日本では有明海と八代海の一部にしかすんでいないが、朝鮮半島、中国沿岸、台湾にも分布する水陸両生魚で最大20cm。鰓(エラ)と皮膚の両方で呼吸が出来るため干潟の上を這い回ることが出来る。

柔らかい泥の干潟に穴を掘ってすんでおり、その巣穴には普通1個の入り口とその他に1〜2個の通気孔(非常口)がある。巣穴の形は縦穴の有る無しなど場所や季節によって様々である。

潮が引いた時に巣穴から出て干潟表面の珪藻類(微細な藻類)を削り取るように食べるが、干潟表面に出るのは6〜7月が最も多い。天気が良く暖かであれば(13℃以上)真冬でも巣穴から出ることがあるが、普通、12月上旬から3月上旬が越冬の期間である。

産卵期は5〜7月で、オスはメスにプロポーズするため盛んにジャンプを繰り返す。その頃が撮影の絶好のチャンスとなる。巣穴の深さ20〜30cmのところに横穴を掘ってその天井に1万個ほどの卵を産みつける。1週間ほどでふ化するが(3mm)、それまでは雄が卵の世話をする。

ムツゴロウの一般的な食べ方は蒲焼だが、その前に、残酷ではあるが生きたまま串に刺し炭火で素焼きにする。以前は盆魚として良く食べられており、夏ばて防止的な意味合いもあったのだろう。

(佐賀県水産課「佐賀のさかな図鑑」より)

前海もん有明海は干満の差が約6mあり、干潮時には沖合5〜7kmまで広大な干潟が広がります。 そこを棲みかとする生き物たちは珍しい姿・形をしていて「前海(まえうみ)もん」とも呼ばれています。